Point of Departure / Andrew Hill



Point of Departure / Andrew Hill
Blue Note (1965)

Kenny Dorham – trumpet
Eric Dolphy – alto saxophone, bass clarinet, flute
Joe Henderson – tenor saxophone, flute
Andrew Hill – piano
Richard Davis – double bass
Tony Williams – drums

1964年3月21日録音

「個性的なメンバーによる風変りなアンサンブル」

アンドリュー・ヒル、ブルーノート録音4作目。
個性的、クセが強いメンバーが揃ったセクステット編成。

ドルフィー、ジョーヘン、ヒル、リチャード・デイビス、トニーと60年代のジャズ界を代表する錚々たるクセの強い顔ぶれに加え、ベテランのケニードーハムが集まりました。

アンドリュー・ヒルの書く妖しげなオリジナルに加え、メンバーのクセが強い演奏がさらに妖しさに拍車をかける、耳馴染みの無い風変りなサウンド。

曲と演奏者の相乗効果

アンドリュー・ヒルの書く曲は、メロディーもコード進行もあまり耳馴染みが無く、奇異な印象。
しかも、ヒルのピアノは、流暢さが無く、インテリジェンスを感じさせる難解さと、エモーショナルにより変幻自在に雰囲気が変わっていく、という面があると感じます。
この、風変りな曲とピアノプレイで、独特の世界観を発現するアンドリュー・ヒル。
本作でもこの世界観は作品を通して貫かれています。

そして、この世界観に他のメンバーもフィットし、さらに相乗効果により、魅力的な作品となっています。

エリック・ドルフィー
シンプルなコード進行のスタンダードでも、独特の音使いとスピード感により、強いドルフィー臭を発する非常に個性の強い演奏者。この個性により強い違和感、異物感がサウンド内にブチ込まれます。

本作でも、個性全開ですが、ヒルのオリジナルは、耳馴染みの無いコード進行であり、全体的に不安定な雰囲気が漂ってるので、違和感、異物感は薄まって、ドルフィーのプレイに耳を集中できる。
ヒルとドルフィー、高い親和性を感じます。

ジョー・ヘンダーソン
断続的なフレーズ、そしてダークなサウンドにより独特のシリアス感、緊張感を持つ、ジョーヘン。
ヒルのぎこちないピアノと、ジョーヘンの断続的なフレーズに近いものを感じます。
ヒルの曲は、2-5-1進行のようなオーソドックスなコード進行をほぼ感じず、またモーダルな印象もあるので、フレーズの時間軸に対する自由度が高い。そういう構造の曲ですので、時間軸にフレキシブルなジョーヘンのスタイルは非常に良い相性。

何故にケニー・ドーハム
ケニー・ドーハムは他のメンバーより世代がちょい上です。
ケニー・ドーハムはハードバッパーの印象が強く、このメンバーだとちょいスタイルが古臭く浮いちゃうんじゃないかな?という懸念は抱くと思います。

しかし、さすがベテラン、新主流派 + 若干のフリー/アブストラクトなテイストが加わっています。音色が粗く、ローからミドルの音域でのモーダルな音使い、そしてフレーズがサウンドにフィット。

リズムセクション
バッキングでのアンドリュー・ヒル と トニー・ウィリアムスのスタイルが対照的で興味深い。

・音価について
 (音楽の専門家ではないので音価の概念を間違えて使っていたらごめんなさい)
トニーは、音の歯切れがよく、とにかく俊敏、細分化されたビート
ヒルは、「ドヨーン」と伸びた印象

・周期性について
トニーは、鳴っている音の雰囲気に応じて、フレキシブルにビートや雰囲気を変化させる
ヒルは、小節の始めや、定期的なアクセントを起点として音を鳴らす

という具合に、かなりスタイルが対照的。
この二つのスタイルの間に立つのがベースのリチャード・デイビス。
どちらかのスタイルに付いたり、離れたり、または全然別の事をやってみたりしています。
このリズムセクションにより、多様な雰囲気が生まれます。


posted by トマリ at 23:56Comment(0)ジャズ

Rayuela / Miguel Zenón and Laurent Coq



Rayuela / Miguel Zenón and Laurent Coq
Sunnyside (2012)

Miguel Zenon - alto sax
Laurent Coq - piano
Dana Leong - cello, trombone
Dan Weiss - drums, tabla, percussion


「南米とフランスの要素が融合された物語的作品」

プエルトリコ出身のアルトサックス奏者 ミゲル・ゼノンと、フランス出身のピアニスト ローラン・コックの共作。
ミゲル・ゼノンとローラン・コックはもともと交友はあり、ちょっとしたセッションでは共演していたようですが、ちゃんとした作品を創り上げたのは本作が初のようです。

本作は、アルゼンチンの作家、フリオ・コルサタルの「Rayuela」という小説からインスパイアされて出来た作品のようです。
私は、こんなコアな小節読んだことないですが(最近読書はご無沙汰です・・・)、パリとブエノスアイレスを舞台にした、マルチエンディングを持つの野心作、傑作のようです。

テーマは緻密なアレンジの秩序のある部分と、躍動感あふれるアドリブ部分、
アルトサックスと、セロまたはトロンボーンの絡み合うメロディ、
そして全体を包み込む美しいピアノ、多彩なパーカッション、
これらが組み合わさり、物語を語っているようなストーリー性があります。


南米とフランスの融合
小説「Rayuela」が、パリとブエノスアイレスを舞台にした作品。
本作も、南米とフランスの要素が融け合ってあまり感じたことのない音世界です。

ミゲル・ゼノンは、プエルトリコ出身、現代的な語法を駆使しつつ、情熱的な演奏が魅力的。
本作でも、特にアドリブでは、ラテンのホットな要素を多く表現しています。
サウンドの役割は、メロディを吹き、アドリブも多く吹き、本作の主人公として物語を語ります。

ローラン・コックは、フランス出身。曲の骨格を創り、さらには美しい装飾も加えます。
ベースがいないので、曲の骨格を形作るウェイトは大きく、全体を包みこむようなピアノ。
また、品があり、穏やかな優しさがあるこの音は、フランスの優しい太陽、穏やかな風のようです。

この二人が音楽の中心。
リズムやノリ、フィーリング、随所にあるキメ、そして音階などの様々な要素が、南米とフランスどちらも感じさせます。
特に、ホットで情熱的なエモーションが南米を感じさせ、穏やかで整然とした雰囲気がフランス(西洋)を感じさせます。


バラエティに富んだ ダナ・レオン ダン・ウェイス
本作に多彩な要素を加えるのが、マルチインストゥルメンタルのダナ・レオンと、パーカッショニストのダン・ウェイス。

ダナ・レオンは、セロとトロンボーンを曲により演奏し分けます。
セロでは、ダンディで整然とした雰囲気が基本にあり、ちょっとした遊び心も、
トロンボーンでは、アルトの鋭い音に対し、円やかな音、トーンの違いで、音の響きの幅を演出する感じ。

ダン・ウェイスは、ドラムや各種パーカッション、そしてタブラ!!を演奏します。
1曲目"Talita"からいきなりタブラ、ジャズでタブラ自体が珍しい存在だと思いますし、使われ方もサブのパーカッションというポジションが多い気がします。
しかし、本作ではタブラも完全なメイン打楽器。
タブラのハリのある音と、「ボヨ~ン」という独特の低音のコンビネーションが面白い。
特に、「ボヨ~ン」のほうは大型動物の鼓動のようでなんとも幻想的。




posted by トマリ at 23:06Comment(0)ジャズ

The Trumpet Player / Avishai Cohen (tp)



The Trumpet Player / Avishai Cohen (tp)
(Fresh Sound 2003)

Avishai Cohen - trumpet
John Sullivan - bass
Jeff Ballard - drums
Joel Frahm - tenor sax on tracks #4,5 and 7


「ライジング・スター アヴィシャイ・コーエン(tp) デビュー作」

セロニアス・モンク コンペティション 3位、ダウンビート誌での「ライジング・スター」に選ばれるなど、現代を代表するトランぺッター アヴィシャイ・コーエン のデビュー作。
噂では、既に世界的ビックネームであるベーシストのアヴィシャイ・コーエンと区別するため、あえてこのアルバムタイトルにしたということを耳にしたことがあります。

アヴィシャイ自身のプロジェクトである「Triveni」3部作でも聴くことができるトラディショナルなスタイル、
最近の自身の作品「Cross My Palm With Silver」や、マーク・ターナーでのサイドマンの活動などで見せる静謐で美しいスタイル、
などなど多様なスタイルを表現するアヴィシャイですが、
本作では、trumpet - bass - drums のトリオ編成にて、ワイルドでエネルギッシュなスタイルを聴かせてくれます。
(最近は、ハードロック調の「Big Vicious」プロジェクトもやってるみたいです、アヴィシャイについてていけるのか、オレ)

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posted by トマリ at 23:21Comment(0)ジャズ

Clifford Brown with Strings



Clifford Brown with Strings
EmArcy (1955)

Clifford Brown - trumpet
Richie Powell - piano
Barry Galbraith - guitar
George Morrow - bass
Max Roach - drums
Neal Hefti - arranger, conductor
and strings

1955年1月18~20日録音

「美しく素直なメロディ、親しみのある歌心」

クリフォード・ブラウンのストリングス作品。
クリフォード・ブラウンと言いますと、コンボ編成での尋常じゃないスピード感、ハイトーンもバリバリの凄まじい演奏を繰り広げる印象ですが、
本作は、ストリングスをバックに、スローテンポで原曲のメロディを素直に吹いていきます。

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posted by トマリ at 22:49Comment(0)ジャズ

Blowin' the Blues Away / Horace Silver



Blowin' the Blues Away / Horace Silver
Blue Note (1959)

Blue Mitchell - trumpet
Junior Cook - tenor saxophone
Horace Silver - piano
Gene Taylor - bass
Louis Hayes - drums


「キレがあり洗練されたブルー・ミッチェルとファンキーなホレス・シルヴァー」
フロントにブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)を迎えたクインテット作品。
このメンバーで(ドラムはちょこちょこ変わるみたいですが)本作の録音年である1959年から1964年まで活動します。
このクインテットでの活動初期の作品ですが、ホレス・シルバーオリジナルの名曲と、個性豊かなメンバーが揃いながらもまとまりのあるバンドサウンドが魅力の作品。

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posted by トマリ at 20:03Comment(0)ジャズ

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